ソフィア・ファーム・コミュニティー [バイオダイナミック農法]
A Biodynamic CSA Farm
based on Rudolf Steiner's indications for a healing, ecological, and spiritual approach to a sustainable care of the Earth.
バイオダイナミック農業の生産物は、食べる人の人生の課題に気づき、行動する力を与えてくれると言われています。
ソフィア・ファーム・コミュニティはバイオダイナミック農業を実践し、心の栄養となる生産物を供給していきます。
ソフィア・ファーム・コミュニティの活動を通して、少しでも地球を癒せればと思っています。
皆様のお力をお借りして、野菜や動物を育て、環境に配慮し、
地球を癒す生き方にチャレンジする多くの方に、学びの場を提供できればと願っています。
どうぞ皆様、ソフィア・ファーム・コミュニティーの活動にご協力ください。

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2009/04/25
ニコラスさんのBD講座in 東京2
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 ニコラスさんの講座で沢山のメッセージをいただきました。長大な内容すべてはお伝えできませんが、特に心に残ったところをまとめました。
 
 おはようございます。私は今日ここに来てお話できることに感謝します。
 今日多くの野菜は温室で早く育つように栽培されています。野菜は本来の大地に根ざしているものではなく、人工的な水と肥料の上に促成栽培で育てられています。このような方法で作られる野菜栽培のために13%のエネルギー負担が課せられています。未来の農業の課題は、どのような農業の方法が気候にとってもよく、エネルギーも消費しない方法か、ということになります。1年半前に食料品等々が値上がりしました。それによって14カ国で社会不安、政治不安が生じました。ですから世界平和のテーマが食料問題と深く関連している、ということが分かると思います。
 今日世界的に問題になっている金融の経済危機の解決の方法として、ドイツの首相は「農業がどのように経営されているかを参考にする必要がある」と提言しました。農業は今日様々なエネルギーを再生する源泉というように考えられています。石油に依存したさまざまな原料や産業が、農業の持続可能性によって補うことができるという解決です。日本のようなエネルギー権を持っていない国は、農業からくる再生を考えることが大事になります。農業の課題は、子どもが病気なっている状態を健康に取り戻すという機会にもなるのです。農業は景観を再生していく役割も持っています。つまり農業は単にあるものを生産するという役割だけではなく、人間を病気から癒すという役割を同時に担っているのです。
 近代農業で人工的な肥料が大量に使われ農産物の質は極端に悪化しました。1924年に行われた農業講座の中でシュタイナーは「私が食べたようなじゃがいもはもうどこにも見当たらない」と言いました。シュタイナーは全体的にみて退化が進んでいるということを語りました。退化とは何でしょうか?ある頂点がありその頂点を越えると退化のプロセスが始まります。ヨーロッパにおいてはローマに頂点にあり、次第にその頂点が衰えていったのです。私から見ると1750年頃にヨーロッパ文化は頂点を迎えたと思います。人口が増えても決して文化的な哲学はそれ以上にはなっていません。この芸術的な頂点のあと、植物も動物も同時に退化していっています。
 シュタイナーの農業の試みは、この全体的な退化、自然、文化的な退化に対して、どのようにしてそれを回復していけるかということに捧げられていました。農業講座の一番の思想というのは、精神の領域からの力を回復して、再び生命全体を蘇らせることです。別な言葉で言えば、宇宙的な力を取込むことに寄って、地球と大地を再び力を与え、蘇らせるということです。つまりシュタイナーは決して農業をちょっとよくしたかった訳ではなくて、地球全体をより良いものに変えようとしたのです。シュタイナーは農業全体を生き生きとしたものにしようとしたのです。こうして行われた講座はまさに「農業の発展のための精神的な基盤」というタイトルをもつものでした。それは新しい農業の文化に対する刺激なのです。シュタイナーは新しい農業を、まさに精神の法則から新たにそのものを根底から作ろう、と思いました。
 農業講座は今日でももっとも複雑な講義の1つに数えられます。残念ながらこの講座の主催者も参加者もシュタイナーの講義をよく理解できたわけではなかったのです。でもすごく興味深いのは、まさに人々の意志に完全に訴えかけたということです。参加者は家に戻ってそれほど十分吟味した訳ではないのにもう始めました。そして8年後には、1,000のBD農場が生まれました!その後BDは色々な国で広まり、09年1月現在、合計4213農場、128,948ha、431事業所、581販売所のデメター認証のあるBDが世界にはあります。  



 農場のひとつの個体と考えるとき、人間がすべてを代表しています。人間が農場を組織としてまとめています。農場は人間の養成をそこで行います。BD農場は僅かな人ではなく、多くの人が入ってきてくれることを望んでいます。そして農業は今日では人間に対して治癒の役割も果たします。農業は統括的に人間を形成するものであるからです。
 経済のことも話したいです。経済ということに関してシュタイナーは非常に多くの示唆を残しました。その経済に対する考え方が、いかにBDの考え方に合致するかを見たいと思います。経済に対するシュタイナーの一番中心的な考えは、次のような社会的な命題です。
「そこで共働している人間の全体性のその治癒は、個人がその仕事の成果を自分に要求することが少なければ少ないほど、つまり収入の多くをできるだけ共働者に与えれば与えるほど、そして自分自身の要求を自分自身の仕事から受けるのではなく、他者の働きからそれを得て、それが満たされる時に、全体性のその治癒は、いっそう大きくなる。」シュタイナーは全体の幸福は誰もが自分のためにするのではなく、他者のために何かするほど自分の幸福は大きくなる、と言ったわけです。
 一般の農業が専門的になり細分化しているのに対し、BD農場では内側に分かれていくということを提案します。ある人は野菜を作り、ある人はチーズを作り、ある人は商品を売る人です。ひとつの農場の中でそれぞれの部門があり受け持っていく、それぞれの部門の指導者が互いに連携しあう、ということです。それはあるグループが他のグループのために何かをすることによってのみ、働くのです。つまりここでは誰もが他者の為に働くことが実現されているのです。そのような農場の共同体の中では、誰もがどれだけ働いたからどれだけ収入がある、ということではないのです。それは要求によって支払を受けます。4人のこどもがいる人はいない人から比べると多くを得ます。このように仕事と収入を切り離すということを、私たちはこの農場である程度実現してきました。またシュタイナーは土地も決して商品のように扱われてはならないと言いました。大地は誰にも属するものではないからです。土地の所有はある協会か連盟に属していて、誰にも属さないものとしてある、ということです。その協会は農場の共同体に土地を貸すのです。農場共同体はその農場そのものに属している訳ではないのです。その農地を農事者の子どもが遺産として受け継ぐこともできません。つまり実際その農場が運営できなくなった場合には、別の農事者がそれを受け継ぐのです。それによってその農場は一番能力のある人によって運営されるのです。土地が商品でなくなればお金を銀行から借りる場合に土地が担保になりませんから新しい思想をもってお金をどう集めるかというアイディアが必要なわけです。誰が私たちがここで農業をやるということに関して関心をもってくれるだろうか、と考えるとそれはもちろん消費者であるわけです。それで農事者が消費者にお金を貸してほしいと尋ねます。農事者が消費者にもしお金を返すことができなければ困るので、別な人からそのお金が戻るように、そういうお金の借り方をします。もちろん消費者は本当に信頼している時に初めてお金を貸すのです。シュタイナーがいつも促したのは、仕事をすることが出来るその人がお金を必要とする場合、そこにお金が供給される必要があるということです。その理想を私たちは農場において実現しました。
 BDは今日、世界の中でどのような位置にあるのでしょうか?実際のBD農場の面積、数は全体から見れば、まだ僅かなものです。つまりその観点ではBDは強力でありません。でもどれほど多くの国々にBDが発展しているかということを実際に見てみるとそれはとても印象的です。どれほどBD農業が他の農業にどれほどの衝動を与えているかということです。
BDは持続可能性という点において重要な役割を持っています。BDの新しい発見は、他の農業に模倣されその影響力は実際の面積以上のはるかに大きい影響力があります。BDは社会に対して、新しい食べ物、栄養に関しても与えています。農場の共同体も新しい革新的なことです。
BDが世界中で発展することが自分の課題です。
私たちがお互いに知り合って、意識を共有するときのみ強くなることができるのです。ありがとうございました。

日本において、デメターを取得の農場は残念ながらありませんが、私たちはこの春、BD生産者を中心に日本バイオダイナミック協会(BAAJ)を立ち上げました。ぽっこわぱの取り組みを基盤に、これからBD生産者は協力し合い、日本でのバイオダイナミック活動を広げ、深めていきます。どうぞBAAJ、そしてBD生産者の活動に心お寄せ下さい。よろしくお願いします。最後にこのような素晴らしい機会をいただけたことを、再建アントロポゾフィー協会の上松さんをはじめ、皆様に感謝します。
ありがとうございました。




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Edited by このみ/ Konomi Campbell 2009/04/25 12:06:33
Last Modified 2009/04/26 00:47:17

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